初めましての方は初めまして、そうでない方はこんにちは。
ねいけい(@nvs_nk)です。好きな戦車はカール自走臼砲です(中学生)(アニメくん)。
さて、6月18日に発売されました百合姫コミックス「私に天使が舞い降りた!」単行本第6巻ですが、これがとんでもなく良い内容だったので、思わずオタクブログを立ち上げてしまいました。就活しろや。私は単行本勢なのでコミック百合姫購読者の方々からすれば今更すぎる内容になってしまいますが、本書の内容や過去の内容に触れていきながら私の考えたことを書き散らしていきたいと思います。
その前に、私が「私に天使が舞い降りた!」にハマるまでの過程を説明していきたいと思います。
なんで私がわたてんに!?
2019年1月9日、今期はどんなアニメ放送してんのかな~~~って思いながら各アニメ1話をざっくり見ていた時に、私はこのアニメに出会いました。第1話冒頭の「みゃー姉おはよーーー!」が非常に印象的でした。声に出して読みたい日本語ですね。この時はまだ「今期の脳死枠かな」程度に考えていました。
わたてん、久しぶりに完全脳死でニチャつきながら見れそうなアヌイメ
— ☝ねいけい☝ (@nvs_nk) 2019年1月9日
さて1週間開けて第2話放送時。この時も私にしては珍しくリアタイ実況していましたが、1話の印象的なセリフを初めとして「みゃー姉」という単語が妙に頭に残るようになりました。
アニメくんになった結果 pic.twitter.com/76FxQynfiT
— ☝ねいけい☝ (@nvs_nk) 2019年1月15日
第2話でまぁこの有様ですね。しかしこの程度だったら1クールが終われば忘れ去られるような有象無象のままだったでしょう。第2話でも繰り返し発せられる「みゃー姉」という単語を浴びているうちに、私は「こんなに慕ってくれる妹がいるなんて素晴らしいじゃないか」と思うようになりました。それと同時に、こんなに慕ってくれる妹がいるのに、ひなたそっちのけで花ちゃんばっかりにご執心なみゃー姉に苛立ちを覚えるようになりました。
私に天使が舞い降りた!じゃないが。舞い降りる前から家の中に天使おるやろが。お前そうやって他の女にうつつ抜かして、ひなたちゃんに申し訳ないと思わんのか?なぁ。みゃーねえみゃーねえって慕ってくれてるでしょ?半無職大学生にこんなに優しくしてくれるの今のうちだよ、ちゃんと構ってあげないと
— ☝ねいけい☝ (@nvs_nk) 2019年1月21日
多分これは酒飲んで酔った勢いで書いた文章ですが、こんな感じで心の中にモヤモヤを抱えていました。このままこの関係を放置すればどこかで破綻する、みゃー姉にはちゃんとひなたと向き合うべきだ。ひなたもひなたで構ってくれない姉に対して少しは怒るべきだ。などと、知らず知らずのうちにみゃー姉とひなたの二人についての話を求めていました。
そんな事を考えていた矢先に、第3話「刷り込み」が放送されました。
ガチで絶叫しました。
だってずっとモヤモヤしてて補完を求めていた箇所をまさかほぼ即日で回収されるとは思わんかったもん。妄想で考えていた展開がほぼそのまま目の前のテレビで放送されてて本当に信じられませんでした。Bパートでひなたが「みゃー姉の、アホー!」って膝カックンした時なんかもう歓喜乱舞でした。
ひなたちゃんあんなにみゃーねえに雑に扱われてるのにケロっとしてて、もしかして感情が死滅してるんじゃないかと不安だったんだけどちゃんと構ってほしい心があって大粒の涙を流してる
— ☝ねいけい☝ (@nvs_nk) 2019年1月22日
人の心は美しい
この日この瞬間を境に、私は「星野ひなたと星野みやこ」の二人のこと以外を考えられなくなりました。毎週火曜日24時30分になれば缶ビールを開けて絶叫実況、本放送終了直後に即dアニメストアで2周目。原作もすぐに揃えて3周くらい読みました。ひなた周りのお話が多めだった6~9話あたりが一番楽しみながらアニメを見れていましたね。放送日以外でも、無職生活への不安でキチゲが溜まれば本編を垂れ流して飲酒。深夜1時頃に泥酔したわたてんオタクから電話がかかってきて、近所の公園で深夜まで絶叫飲酒しながら通話。電話の向こう側からはなんでか知らないけど吐瀉音が聞こえてくる。まさにわたてん漬けの日々でした。
前座がだいぶ長くなってしまいましたね。要するに、私は「自分のことを慕うひなたを溺愛するみゃー姉」が好きだ、ということが分かって頂けたら幸いです。BD3巻特典のOVAで「私がお姉ちゃんだよ」の映像が公開されましたが、あんな感じのが大好物です。なんならストーリー性完全に排除してでもいいから「みゃー姉にべたべた甘えるひなたと、ひなたをべたべた甘やかすみゃー姉」だけの映像を1クール分作って2期として放送してほしいくらいです。
以下ネタバレ注意
さて、そろそろ本題に入りましょう。最新刊の内容や、アニメBD特典の小冊子の内容に思いっきり踏み込みますので未読の方はご注意。手元に「私に天使が舞い降りた!」6巻がある方はまずそれを読んでください。アニメは見たけど原作読んでないって方は可能ならば全巻、最低限として5巻と6巻を今すぐ入手して読むことをお勧めします。
私に天使が舞い降りた!: 5【イラスト特典付】 (百合姫コミックス)
- 作者: 椋木ななつ
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2019/01/11
- メディア: Kindle版
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私に天使が舞い降りた!: 6【イラスト特典付】 (百合姫コミックス)
- 作者: 椋木ななつ
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2019/06/18
- メディア: Kindle版
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あと全く関係ないんですがこの漫画非常に良いので是非読んでください。絶叫できます。
私に天使が舞い降りた!第6巻感想① 星野みやこの成長物語
第6巻を読了してまず最初に思ったのは、「私に天使が舞い降りた!」という作品の「星野みやこの成長物語」としての面が色濃く出るようになってきたな、という点です。
引きこもりで人見知り友達居ない
そんなみゃー姉も一番さ
やっぱりみゃー姉なんばーわん / 星野ひなた(長江里加)より
星野みやこという人間の特徴を端的に表した歌詞ですね。みゃー姉は本当に友達が居なく、会話をする相手は妹のひなたか母親のみ。大学生にもなってご近所さんにも挨拶できない始末。逆になんで大学通えてるんだこいつ。しかし、ある日ひなたが花を家に連れてきて「天使が舞い降りた」ことをきっかけに、乃愛、小依、夏音、松本と徐々に交流する相手が増えていきます。星野家内やコスプレ趣味だけの隔絶された世界から、外の世界に興味を持ち、触れ合いを通じて少しづつ前に進んでいく。アニメ最終回付近では小学生たちの文化祭準備の手伝いも完遂し、「大学の学園祭にも行ってみようかな」と発言。あのみゃー姉が。
最終回放送直後にもこのことに言及している方がいましたし、6月2日に行われた「私に天使が舞い降りた!スペシャルイベント~ハッピー・ハッピーフレンズ~」の夜の部でも、みゃー姉役の上田麗奈さんが締めの挨拶で「星野みやこの成長物語」という点に触れていました。
今回の第6巻では、その側面にさらに踏み込んでいった内容が多く見られました。例えば50話の、バレンタインデー前日に松本が押しかけてくる話。今までの経験からして自己肯定感が低いみゃー姉。少し前の48話初詣回でも母に「相変わらずアンタは他人からの好意に鈍いわね…」と言われています。そんなみゃー姉に松本はこう言いました。
「あ、ありがとう…。でも私なんか別に…」
「みやこさんが自分のダメなところ10個言ったら、私がみやこさんのいいところ20個教えてあげる」
「大丈夫、みやこさんは今のままでも十分素敵よ。だから私なんかなんて言わないで?」
私に天使が舞い降りた!第6巻50話 p120より
どうしても自分の事を一歩引いてしまうみゃー姉に、こう優しく諭す松本。自己肯定感が低い人に対する、ある種の救いですね。みゃー姉を成長に導いていく女の子のことを「天使」と呼ぶのならば、松本も「天使」の一人として十分数え得る存在でしょう。
そして、この翌日のバレンタイン当日。
「そうだ、お姉さんも一緒にどうですか?」
「え?」
「ケーキ屋一緒にやりましょう。お姉さんのケーキなら大人気になりますよ」
「うーん、楽しそうだけど、私なんかのケーキじゃ…」
「……」
「どうしたんですか?」
「…ううん、なんでもない。ケーキ屋いいかもね」
私に天使が舞い降りた!6巻51話 p141より
このシーンを言葉で解説するのは野暮というものでしょう。
そしてこの次の見開き、142,143pのシーン。私は前述した通りみゃー姉にはひなたのことを見ていてほしいタイプの人間なのですが、ここのシーンには流石に屈服しました。とても悔しいけど、とても良いんです。アニメ最終回のミュージカルにあったように、二人で愛を育んで、お店を構えて、穏やかに暮らしていくような、まるで結婚生活のような理想の世界––––––––––。毎回単行本の終盤には花ちゃんがデレるシーンが大きく描かれるのですが、6巻のそれは格別でしたね。
さて、みゃー姉の成長という観点から本作を語るにあたって、どうしても外せない人物が居ます。母の星野千鶴です。
この母ちゃん、マジのマジでいい母親なんだよね………。
「そっか、しっかり看病してくれたんだね。えらいえらい」
「!? ちょっ!? やめてよ子供じゃないんだから!」
「あんた褒めれる機会少ないんだからこういうときは褒めさせなさいよ」
私に天使が舞い降りた!第4巻31話 p36より
「お、ついにその鬱陶しい前髪切るの?」
「…やっぱり切ったほうがいいと思う?」
「別にどっちでもいいんじゃない」
「その前髪別におしゃれでしてるわけじゃないんでしょ。なんだっけ?他人と目が合わないようにだっけ?アンタなりに人見知りどうにかしようとしてやってるんでしょ?」
「ならみやこがいいと思うようにしなさい」
私に天使が舞い降りた!5巻41話 p95より
このお母さんは引きこもりで陰キャの娘に対し、普段はブータラ文句言いながらも、どんなにゆっくりとした小さな成長でもそれを喜ぶし、無理に急かすこともしないし、本当に温かい。この母がいるからこそみゃー姉がじっくりと成長物語を進められる環境が整っているんだと思います。家庭環境万歳。こうした母、そして姉の事が本当に本当に大好きな妹に囲まれた「星野家」という空間が私は大好きです。
フォロワーにわたてんキャラの中でこのお母さんが一番好きだというオタクがいるので、早くそいつと酒飲みながらクソデカ大声で話をしたいです。
死ぬほどどうでもいいけど、お母さんがいつも咥えているのと同タイプの禁煙パイプ(グレープフルーツ味)を、私は未成年の時に購入して密かに背徳感に浸っていました。こないだそれを買ったコンビニの目の前で殺人事件起きたけど……。
私に天使が舞い降りた!第6巻感想② 星野ひなたの二面性
星野ひなたが「天使」を連れてきた日
さて、ここまでは姉のみやこの話を中心にしてきましたが、今度は妹のひなたの話をしていきたいと思います。本作中を通して常に描かれていた「ひなた→みゃー姉」の感情の構図ですが、6巻でも新たな動きがありました。全ては46話の中に詰まっています。
「こうしてるとなんか懐かしいね。花ちゃんが来る前みたい」
「そうだな!花来る前はみゃー姉と二人だったからな!」
「……さみしい?」
「なんでだ?花とノアと遊ぶの楽しいのにさみしいわけないぞ!」
「みゃー姉も前よりずっと楽しそうだしな!」
「…そっか」
私に天使が舞い降りた!6巻46話 p48より
やはりひなたが花を家に連れてきて「天使が舞い降りた」日を境に、何かが変わっているのは二人とも気づいていることなのでしょう。では花を連れてくる以前のひなたはどうだったか。BD1巻の特典ブックレット書き下ろし漫画によると、普通に学校に夏音や小依といった友達が居て、花という新しい友達に対してもグイグイ距離を詰めて仲良くなろうとしています。そんな社交的なひなたですが、仲良くなった花を「みゃー姉がいる自分の家」に連れてくるまでに2カ月かかっています。理由は皆さんご存知の通り。
「でもはじめてだね、ひなたが友だち家に泊めたいだなんて」
「みゃー姉家族以外がうちにいるのイヤがるからな」
私に天使が舞い降りた!1巻4話 p60より
ここでは「泊めたい」という表現が用いられていますが、その後の反応を見る限りそもそも友達を家に連れてきたことがないと見て良いでしょう。花だけではなく、以前からの友達の夏音と小依ですら、初めて星野家に訪問したのは3巻22話の時点です。
これは完全に私の妄想に近い推測なのですが、星野ひなたには
「家の外の、社交的で誰とでも仲良くなれる星野ひなた」
と、
「家の中の、みゃー姉べったり甘えんぼな星野ひなた」
の二つの人格が存在していたのではないでしょうか。以降、便宜上前者を「外のひなた」、後者を「内のひなた」と呼称することにします。
二人のひなた
以前までならみゃー姉の居る空間と友達と居る空間が重なることは無いから、この二つの人格が混ざることはありませんでした。
んで妹のひなたの話なんだけど、まず学校での社交的なひなたと家の中のみゃー姉べったりなひなたとの間に大きな壁が存在していたと思うんだよね
— ☝ねいけい☝ (@nvs_nk) 2019年6月3日
最初は「みゃー姉が嫌がるから」って家に友達呼ばなかったんだけど、花ちゃんと出会ってから2ヶ月の間にそこの壁が少しづつ乗り越えられてきたのかなって
なんなら小5に進級する以前からの友達のかのこよも劇中で初めて家に呼ぶレベルなんだけど、この時の家に連れていきたいって感情の根源が「みゃー姉自慢したいから」なんだよね
— ☝ねいけい☝ (@nvs_nk) 2019年6月3日
外のうまる中のうまるじゃないけど、外でできた友達を家に呼ぶことで二人のひなたが劇中で徐々に統合されてきたのかもしれん
数週間前には以上のように書きましたが、ひなたが花を家に連れてきても大丈夫だという判断を下す材料の一つには、ただ時間をかけて友情を深めていったことだけではなく、「花と仲良くなった経緯」も大きな要素としてあると考え直しました。
BD1巻特典ブックレットによると、ひなたと花が完全に打ち解けたきっかけは「みゃー姉のお菓子」です。ひなたはこの時「みゃー姉のお菓子をあんなおいしそうに食べる奴に悪い奴はいない!」と考えていました(オタクに円盤貸してて手元に資料が無いから正確な引用ができない……)。この点に夏音や小依らとは明確な差が存在します。
この時花が打ち解けた相手は、社交的で明るい「外のひなた」ではなく、全ての行動基準がみゃー姉に依存する「内のひなた」の方ではないでしょうか。
恐らくここで打ち解けた要因がみゃー姉絡みのものではなく、相手が「外のひなた」のままだった場合には、ひなたは今後ずっと友達を家に招くことはなかったかと思います。
ここで、「外」にいる中で「内のひなた」がポロっと顔を出してしまった。そしてここから1話の冒頭シーンに繋がるわけですが、みゃー姉に「天使が舞い降りた」ことによって本物のみゃー姉と面識がある人間がひなたの周りに増えたため、「内のひなた」の登場する機会も多くなります。やがて他の友達も家に連れてくることに抵抗感がなくなっていき、乃愛や夏音や小依、松本……は勝手に侵入してきたのか。ともかく、こういう感じにみゃー姉の交友関係が広がっていくようになります。
さて、ひなたにとって「友達を家に連れてくる」という行為には「友達にみゃー姉の存在を知らしめる」という意味がありますが、それと同時に「『内のひなた』状態の自分を友達に見せる」ことも意味します。某干物妹のように「内」の姿を友達に見られたくない、という感情があったのかどうかは分かりませんが、今まで見せてこなかった自分の一面を普通に見せていくように環境が変わったことで、「外のひなた」と「内のひなた」の境界線が曖昧になり、両者を兼ね備えた「ハイブリッド型ひなた」に変化していったのではないかと考えられます。
この「ひなた」はどっち?
この考え方を本編中に当てはめてみると、例えば2巻18話(アニメ7話)のみゃー姉強化期間。これはもう間違いなく「内」の方が色濃く出ています。
「ベッタリなのは前からだけど今はヒドくなってる。学校も終わったらすぐ帰るし休みの日も家以外じゃ遊びたくないっていうし」
私に天使が舞い降りた!2巻18話 p111より
「内」が強く出すぎて「外」がかき消されている状態ですね。みゃー姉の誕生日を忘れていたというショックからバランスが崩れたのでしょう。もしハイブリッド化に失敗してひなたの人格が完全に「内」に取り込まれたらきっと毎日こんな感じですね。ただ、ここで面白いのが、みゃー姉接触禁止期間が過ぎた後の乃愛に対する一言。
「みゃー姉のかわりできたのは、みゃー姉と同じくらい好きなノアだからだぞ」
私に天使が舞い降りた!2巻18話 p123より
私はずっとこの言葉の意図がよく分からなかったのですが、今なんとなく分かってきました。「内のひなた」が一番好きなのはみゃー姉。しかし一方で「外のひなた」は、一緒に遊んでくれる周りのみんな、乃愛、花、夏音、小依、松本、クラスのみんな、隣のおばさん、全てが大好き。社交的で誰とでもすぐ仲良くなれ、そうやって仲良くなってきたみんなが大好き。その一環としての「みゃー姉と同じくらい好きなノア」なのだと思います。ガッチガチの「内のひなた」回かと思いきや、最後にフッと「外のひなた」で強烈な一発を出してくるこのバランスがたまらないですね。
また、4巻33話(アニメ9話)のイオンシネマ多摩センターデート回の場合。こっちは「外のひなた」が色濃く出てる回ですね。ひなたが「外」バージョンだった場合、どういった行動をするのかがよく描かれています。
「…もー、ヒナタちゃんそういうとこだよー」
私に天使が舞い降りた!4巻33話 p67より
この「そういうとこ」が、「外のひなた」に備わっている特性なのでしょう。いやほんとに意識してないんだろうけど、相手が喜ぶようなことを素でやっちゃうんだよねヒナタちゃんは。
実は姫坂乃愛さんは、日頃から「外のひなた」がばら撒いてる愛を大切に受け取っている上に、18話に登場した「星野みやこ変身コスプレセット」とかいう悪魔のアイテムのせいで、「内のひなた」が保有する膨大な量の愛を全身で受け止めた経験があるんですよね。あーあ、これはもう戻れないわ。本当にかわいそう。まぁ、このあたりの詳細な考察はひなのあ有識者に任せます。
今後の課題点と展望
もちろんこの「外と内」論では説明できないこともいくつかあります。
「すごいんだぞみゃー姉!ノアは今日転校してきたんだけどびっくりなのがなんとうちの隣に引っ越して来たんだって!」
私に天使が舞い降りた!1巻5話 p79より
ひなたが乃愛を家に連れてきた理由ですが、「転校生の家が隣だった」。前述の花の時や、みゃー姉に興味を持った夏音や小依にみゃー姉自慢をしたくて連れてきた時(私に天使が舞い降りた!3巻21話 p16より)に比べると、みゃー姉絡みが薄く「内のひなた」の介入度合が低いように見えます。いや普通の子だったら連れてくるには十分すぎる理由だけどね。みゃー姉とか関係なしに普通にお隣さんだから連れてきたのかもしれないね……。
また、ひなたのクラスメイトにはみゃー姉のウワサが広がりに広がっていることから、ひなたは花や乃愛たちに出会う前からみゃー姉自慢を繰り返していると考えられます。ではその場合、みゃー姉自慢をしているのは「外」と「内」のどっちだ?という問題が生じます。この時点から高頻度で「内のひなた」がポロポロ外に出ているのならば、そもそも存在していたのは最初から「ハイブリッドひなた」だったと言えるので、「内と外」論が成り立たなくなります。
6巻でのひなた
話が逸れ過ぎましたね。6巻46話の内容に戻りましょう。
「こうしてるとなんか懐かしいね。花ちゃんが来る前みたい」
「そうだな!花来る前はみゃー姉と二人だったからな!」
「……さみしい?」
「なんでだ?花とノアと遊ぶの楽しいのにさみしいわけないぞ!」
「みゃー姉も前よりずっと楽しそうだしな!」
「…そっか」
私に天使が舞い降りた!6巻46話 p48より
先にも引用したこの箇所、私はここを読んで「あぁ、ひなたのハイブリッド化はもうかなり進んだんだな」と感じました。みゃー姉の幸せと同時に、他の友達の幸せも喜ぶことができる。「内」の持つ独占欲が表に出すぎていない状態。ハイブリッド化が進むということは、すなわち身の回りの環境が二面性を気にする必要が無い環境に変化したということなので、ひなたにとって喜ばしいことです。「内」と「外」がいい具合に重なり、素直にみんなの幸せを喜ぶことができる。この点もある種で「ひなたの成長物語」として捉えられるのではないでしょうか。
その一方で、「『内』に偏った甘えんぼでみゃー姉独り占めしたいひなたはもう居ないのかな……」と、少し寂しくもありました。おれはもっとベタベタな様子が見たいよ。そんなことを考えながら次のページをめくりました。
「……あのねみゃー姉…」
「なに?」
「さっきはさみしくないって言ったけどほんとはちょっとだけさみしい…」
「みんなといるときみゃー姉楽しそうでうれしいけど、わたしと二人のときよりみゃー姉楽しそうだから」
私に天使が舞い降りた!6巻46話 p50より
いっっっっやお前さぁ!!!!!!!!!!!!!!
いやマジで、え、なにこれ??????????
デカい声出しながら転げ回りました。「内のひなた」は死んでいなかった。居たよ。ちゃんと生きてた。うんうんそうだよ、「内」の側面もちゃんと持ってていいんだよ。おれはこういうのが見たかった。
「でもちょっとだけだぞ!ほんとだぞ!」
「…大丈夫だよ、ひなたがみんな大好きなのはわかってるから」
私に天使が舞い降りた!6巻46話 p50より
そう、そしてみんなのことが大好きな「外のひなた」もちゃんと健在である。どっち側に自分のアイデンティティがあるのか、バランス調整に悩んでる年頃なのかな。うんうん。悩むことは成長することだ。そしてこの「外」の特性をちゃんと理解してるみゃー姉もやっぱりお姉ちゃんなんだよね。10年間ずっと見てるもんね。
「……まぁ確かにひなた一人のときはみんなといるときよりちょっと落ち着いてるかもね。なんでか分かる?」
「一緒にいても楽しくないから?」
「ぶぶー」
「正解はひなたといると安心するから」
「…?それいいの?」
「いいよー」
「一番いいかもね。私が安心するなんてお布団とひなたくらいだよ」
「……!」
私に天使が舞い降りた!6巻46話 p51より
この「安心」ってのもね、星野家の温かさを表してるんだよね。血縁関係はね、やっぱ他とは比較できない絆があるんだよ。いや、ほんとにありがとうございます………。
おわりに
とまぁ、最新刊の感想と感情とそれに付随するあれこれを書いてたらいつの間にか10000字超えてました。なんでやねん。
わたてんのアニメ放送時期は間違いなく楽しい時間でした。それだけに、今回のようにアニメでやらなかった5巻以降の内容でこういった絶叫回が出てくると、しんどくて仕方ないですね。原作ストックが足りないのは重々承知していますが、長い目で見ていこうと思います。
––––––––––––––––––星野家に輝かしく暖かい未来あれ。
おちまい
※6/20追記
6巻44話の雪遊び回で「そういえば乃愛ちゃんて星野家のお隣さんだったな」って改めて実感しました。2階のお姉ちゃんの部屋の窓開けて隣に住んでる友達を遊びに誘うってシチュエーション、「苺ましまろ」っぽくて非常に良いですね。詳しくは「苺ましまろ」を読んでください。ただいくら「苺ましまろ」に影響受けたからといって未成年喫煙はダメだゾ。
※6/29追記
小之森夏音さんの名前を「花音」と表記していた誤字を修正しました。誤表記の件と、誤表記しておきながら偉そうなこと語っていた件について、本当に申し訳ございませんでした。
参考文献
椋木ななつ(2017)「私に天使が舞い降りた!①」一迅社
椋木ななつ(2017)「私に天使が舞い降りた!②」一迅社
椋木ななつ(2018)「私に天使が舞い降りた!③」一迅社
椋木ななつ(2018)「私に天使が舞い降りた!④」一迅社
椋木ななつ(2019)「私に天使が舞い降りた!⑤ 特装版」一迅社
椋木ななつ(2019)「私に天使が舞い降りた!⑥」一迅社
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ストーリー|TVアニメ「私に天使が舞い降りた!」公式サイト(http://watatentv.com/story13.html)
(@nvs_nk)のツイート(https://twitter.com/nvs_nk)