小学生の時に、おれは親にゲームをねだった。ポケモンのリーフグリーンか何かだったと思う。
その時、親父は「どうしてそのゲームが欲しいか言ってみろ」とおれに問うた。
何をプレゼンしたかはもはや記憶にないが、おれはそのゲームを買ってもらいたい理由を述べた。
それを聞いた親父は「よし分かった、買ってやろう。ちなみに『周りのみんなが持ってるから』って理由だったら買ってやんなかった」と言った。
かくして幼少のおれは、父親の「周りに流されず自分の考えを持って発言しなさい」という教えの意図をガン無視し、「逆張りするとアドい」と学習した。
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逆張りとは、ある種の思考放棄である。
ものごとがあり、それに対して己がどう考え・意見を持っているか。この考え・意見を手にするために経るべき思考プロセスが肝要である。
しかしおれは父の教えを履き違え、思考プロセスに割くべきリソースをケチり、「なんだかよく分からんけど、世間のだいたいの意見はこっちだし、とりあえず逆向いとけばそれっぽく見えるだろ」で27年間生きてしまった。
そんなわけで、おれは逆張りを辞めたいと思っても、真っ先に「とりあえずテレビ・ドラマを見とけばいいのかな」などと思いつくのであった。