未来回帰線招致委員会

好きなアニメは祝福のカンパネラです

果てなき性への渇望

中学1年生のおれたちは、溢れ出るセックスへの欲望の留まるところを知らなかった。

 

おれの通っていた中学は少し特殊で、早い話が女が全く居なかった。高学年ともなると他校の女子生徒に会いに行くなどのアクションを取るやつも出てくるが、入りたての中1君でそこまでの行動力がある奴は中々いなかった。そのため、誰かが噂レベルで持ち込む性情報が、得られる異性の知識の全てであった。

 

当時、級友と「もし飽きるほどセックスをしてしまったら、どうなるんだろう」という話を議論したことがあった。

級友は、「もしね、なんかホストみたいな人になってさ、女の人とセックスがやりたい放題になってさ、もうそれこそ何百回も何千回もセックスをするようになったら、やっぱりセックスに対して何も感じなくなっちゃうのかな。『セックスが気持ちいい』という感情は無くなってしまうのだろうか」と、恐怖を語った。

 

性に飢えており、覚えたてのオナニーに明け暮れる中学1年生のおれたちにとって、セックスが「もういい」となるなど、天地がひっくり返っても考えられないようなことだった。まだ見果てぬセックスを極めて強く渇望しており、性に対して純粋で真剣だった時期のことである。

そして、実際のセックスを経験した者など身近に誰一人いないため、覚えたてのセンシティブ・ワードを駆使し、憶測にまみれた流言飛語で盛り上がるのである。前述の級友の発言に見られる、「ホストがなんなのかよく知らないけど、きっとセックスがやりたい放題なんだろう」という偏見が良い例である。

担任も童貞仲間だと思いこんでおり、別の教師から「君たちが想像してるようなことは大人になったら大抵やってるよw」と言われた日には、ホームルームで「先生!セックスをしたことがあるなんて本当ですか??信じてたのに!この裏切り者!」とクラス一丸となって担任を糾弾したこともあった。

 

閑話休題

 

おれが精通したのは中学1年生の時で、またアニメだったりラノベだったり二次元にハマりだしたのが中学3年生の初めの頃だったので、裏を返せばその2年間は性欲とアニメキャラクターが結びついておらず、極めて純粋に性に向き合っていた時期であった。

PSPの15禁のよくわからんグラビアっぽいビデオを借りて学校のトイレで興奮していたし、図書室で馳星周の女とドラッグと暴力にまみれた文章を呼んで我慢汁を垂れ流していた。

 

兎にも角にも性欲は無尽蔵に湧いてくるので、「セックスがどうでも良くなったら、どうなってしまうんだろう」という恐怖はあった。枯れ果てるなど想像もできなかった。

 

 

やがて大学生になり、おれは「起きぬけに一発シコるとそのまま疲れて二度寝してしまい、2限に遅刻する」ことを学習した。射精は疲れるものだと初めて知覚したのだ。

 

やがて労働者になった。「今日はシコらずに寝よう」という選択肢が日常に入り込むようになった。

 

ただただ果てなき性を渇望し、必死にオナニーをしていた中学1年生の頃が、一番無敵であった。