就活を舐めていた無内定無職オタクがひだまりスケッチに泣かされた話
初めましての方は初めまして、そうでない方はこんにちは。☝ねいけい☝ (@nvs_nk) | Twitterです。魔法少女リリカルなのは15周年ライブめちゃくちゃ良かったですね。田村ゆかりさんめちゃくちゃかわいいじゃん。大人になっても忘れない…。
さて、タイトルにも書きましたがここ最近ひだまりスケッチのアニメを見直してガチで意味わからんほど泣いたので、感情の任せるままに書き殴ります。
話題の性質上4期以降の話が中心になりますが、ご容赦ください。
「進路」について
受験ってなんだろう?
ひだまりスケッチはね、なんといっても進路について否応なく考えさせられるアニメですよ。それ故に私は全国の高校3年生・受験生・浪人生・大学生・就活生・無職等に見ろと言い続けているわけです。勝手な想像ですけれど、美大浪人を経験されている蒼樹うめ先生だからこそ鮮明に描けるテーマなんでしょうかね。
私が初めてこの作品に触れたのは高校1年か2年の時でした。確か卒業編が公開されたのが高2の時だったので、「へー、大学受験ってこんなに大変なんだな~(他人事)」という感想を抱いていたのを覚えています。
ゆの「受験ってなんだろう…?」
宮子「ん?どったの?したくないの?」
ゆの「ううん、頭では分かってるつもりなんだけど、この前したばっかりだし」
宮子「ん~、今の自分のためのものかな?今の自分と、未来の今の自分のため」
ひだまりスケッチ 沙英・ヒロ卒業編 第1話より
将来の事など微塵も考えていないパッパラパー高校生だった私はこの会話のシーンを「ほーん」と流していましたが、今となっては当時の自分を殴り倒してでも向き合わせたいシーンです。受験にしろ就活にしろ、人生の大きなターニングポイントに差し掛かる直前は己の行く末が分からなくなり、不安定になりがちです。しかし敢えてその時期に頑張るからこそ、その頑張りがより直接的に後々の自分の人生に影響してくるわけですね。だから世のみなさんは受験や就活といったシーンで頑張るわけです。
こういう時、よく「将来こういう自分になりたい」という目的が「いい大学に行くのが目標」「いい会社に入るのが目標」というようにすり替わりがちですが、宮ちゃんは「未来の自分のため」と、受験を将来の目標を叶える手段として断じているのがとても良いですね(いい大学、いい会社に入ることが最終目標になることを否定しているわけではありません)。宮ちゃんは本当に鋭いことを言うんです。
余談ですが私が一番好きなキャラは宮子です。実家が貧乏な苦学生で、でも底抜けな明るさを持ち、普段からおバカっぽいキャラ付けをされている彼女。でも実はやまぶき高校に推薦入学する優等生。絵に関しても周囲とは一味違う才能を持っている。
この物語の主人公のゆのっちは、やまぶき高校美術科に入学した後、周囲との実力の差に苦しみます。1年生の時の文化祭でも自分の作品が未完成の状態で展示されてしまった(1期10話)りと、とても悔しい思いをしたかと思います。ひだまりスケッチとはそんな彼女が少しずつ自信をつけて成長していくお話なのですが、ゆのっちがひたむきに頑張っていく様子を見守り、支えているのが宮ちゃんなんです。一緒に学び、遊び、笑い、たくさんの時間を共に過ごす。んで、ゆのっちが泣きそうな時は手を握ってあげる。あなた卒業編見た?顔パシってして率先して場を盛り上げたり切り替えたり、慰めたり勇気づけたりする側に回ったり。お姉ちゃんだよ。めっちゃかっこいいお姉ちゃん。何も考えてないように見えて、実はいろいろ考えてるんだよ。もう大好き。
ゆのっちにとって宮ちゃんは憧れの対象(美術の才能面でもそうだし、もちろん性格などといった人間面でも)で、ある意味目標にしていきたいお姉ちゃん、という風に認識しているのかもしれません。それに対して、宮ちゃんってゆのっちに対してどんな感情を抱いているのかなぁ。ゆのっちって宮ちゃんにとってなんなの?おれ気になる。マジで知りたい。助けて。この謎を解決するために「ひだまりスケッチ×ハニカム」第6話「おしゃべりスケッチ」を9億回くらい見直しています。
現在と、未来
実は上記のシーンよりもっと深く鋭く、自分に突き刺さったシーンがあります。
吉野屋先生「ヒロさん、あなたは先生になりたいのですか?それとも、ここに居たいの?」
ヒロ「えっ…」
吉野屋先生「もし先生になってやまぶきに赴任できたとしても、その時のやまぶきには沙英さんもゆのさんたちも居ないけど、大丈夫?」
ひだまりスケッチ×ハニカム 第6話より
ヒロ(見抜かれちゃった…。私、変わりたくないってことばかり考えてた)
ヒロ(絵を描くのは好きだけど、今はそれ以上に…。ひだまり荘に、沙英とみんなと一緒に…)
ヒロ「…卒業、したくないよ…」
ひだまりスケッチ×ハニカム 第6話より
就職浪人という肩書きを振り回しながらニート生活を送っていたある日、なんの気もなしにひだまりスケッチ(原作)を読み直していた私を、このシーンは見事に切り裂いていきました。一応私も大学4年の頃に就活っぽい何かをしていたのですが、将来の事を考えないでアニメを見たりオタクと一緒にイベントやアニクラに行ったり旅行したり酒飲んだりデブラー食いに行ったりするというぬるま湯のような生活に浸っており、「こんな生活がいつまでもできたらいいな~」ということしか考えていませんでした。ただ現状維持をしたい。将来への変化が怖い。怖いから現実逃避をする。
吉野屋先生「せっかく未来の話をしているのに、後ろしか見ていないなんて、なんだか悲しくて…」
ひだまりスケッチ×ハニカム 第6話より
沙英「でもさ、大丈夫だよ。変わらないよ。私たちが望んでいれば大丈夫だよ。きっと、今よりもっと良くなるよ」
ひだまりスケッチ×ハニカム 第6話より
でも私は、叱られました。ひだまりスケッチに、うめ先生に、吉野屋先生に、沙英さんに叱られました。変化を拒んで現状維持を望むのではなく、環境が変化しても関係が変わらないよう、良い方に向かうように努力せよ、と。私は基本的にこの時のヒロさんのような思考回路を持って生活しているので、「未来を良くする」という発想が抜けていました。実は以前私の就活相談に乗ってくださった方にも同じようなことを言われたのですが、今更こういう形でその意図を理解し、とても恥ずかしくなりました。家で叫び散らしました。あまりの情けなさに泣き喚きました。
巷に溢れている「この作品は私の人生に影響を与えた!」という言葉、私正直あんまり好きじゃないし軽々しく使いたくないと思っているのですが、私にとってのひだまりスケッチは、冗談抜きで「人生に影響を与えた」作品に入るかと思っています。
またね、ようこそ、ひだまり荘
イベンターと話をしていると、「もしタイムマシンに乗って1回だけ過去に遡れるとしたら、どのイベント行く?」という話題が挙がることがあります。私はこの答えを、2013年3月3日の「超ひだまつり in 日本武道館」と決めています。この頃の私に「声優のイベントに行く」という概念がそもそも備わっていなかったことが非常に悔やまれます。後から感想ブログやら何やら読み漁ったけど、これだけは何としてでも行きたかった…。
このイベントでは「ひだまりスケッチ 沙英・ヒロ 卒業編」の制作決定が発表されたそうです。私がイベントの中で一番好きなのは新作発表の演出なんですが、これは本当に現地で、事前情報無しの状態で見たかったですね…。
こちらのサイトに載っている「PV公開!」という動画が、実際にイベントで発表に使われたPVだと思われます。Adobe Flash PlayerとJavascript要求してくるので再生がちょっとめんどい…。前半までは4期作中の様子を切り貼りし、後半で新規カットを出していくという構成。後半に入った時点で新作を察せるようにして、最後にドーンと制作決定の文字。私がこの世で一番好きな四字熟語は「制作決定」です。ほんとに、こういう演出を考えることができる人こそ重宝されるべき存在ですよ。
さて、このPVでも使用されている「またね、ようこそ、ひだまり荘」という曲。4期OPのカップリング曲で卒業編のEDという立ち位置ですが、本当に良い曲ですね。1番2番で、ひだまり荘で過ごした日々を振り返っています。その中でも気になったのはこの歌詞。
鉛筆削れるたび
わたしはおおきくなったハズ…だよね?
また春が来たね 三年生だね
どうしようか?
のんびりやろう!
またね、ようこそ、ひだまり荘 / ゆの×宮子 より
ここで私は肝心なことを思い出しました。本編を見ていただければ分かるかと思いますが、「ひだまりスケッチ 沙英・ヒロ卒業編」は沙英とヒロが卒業する話であると同時に、主人公であるゆのとその親友の宮子が二人を送り出す話なんです。主人公世代のこの二人が、やはり物語の本筋なんですね。その二人が、自分たちの3年生の時間を「どうしようか?」「のんびりやろう!」と語り合っている。二人が卒業する時にはどんな景色が見えるのかな…。私はとにかくゆのっちと宮ちゃんの関係性がマジで大好きなので、めちゃんこ気になります。このあたりはまだ原作でも途中の話ですので、とりあえず3月の新刊を楽しみにしたいと思います。
「またね」「ありがとう」
「これからもよろしく」
変わらないキャンバス
変わってく景色
またね、ようこそ、ひだまり荘 / ゆの×宮子 より
続くこちらの歌詞、あれ?なんかこれどっかで既視感あるな…?
ん~……
……
あ!これ
のんのんびよりのEDだ!!!(唐突)
皆さんは2018年8月25日に公開された劇場アニメ「のんのんびより ばけーしょん」をご存知でしょうか。田舎暮らしの少女が旅行で村の外に出て、外での出会いを思い出に変えつつ自分たちの「日常」へ帰っていくという日常アニメの最高傑作です。この「のんのんびより」シリーズのEDテーマの作詞作曲はシンガーソングライターのZAQ氏が行っていることは周知の事実ですが、実は「またね、ようこそ、ひだまり荘」の作詞もZAQさんなんです。ちなみにA面の「おーぷん☆きゃんばす」では作曲も手掛けています。
ここで、「のんのんびより ばけーしょん」のEDテーマとなった曲「おもいで」の歌詞を見ていきましょう。
淡い永遠と 鮮やかな日常
手を振ってるその奥に
「おかえり」がいる
おもいで / 宮内れんげ・一条蛍・越谷夏海・越谷小鞠 より
この部分では、淡い永遠(=おきなわで過ごした思い出の日々)と鮮やかな日常(=ウチの村で過ごす日常)を対比させています。日常が永遠に続くならそれはただの淡々とした日常ですが、淡い永遠という非日常があるからこそ、鮮やかな日常がより鮮やかになっていくんです。
「またね」「ありがとう」
「これからもよろしく」
変わらないキャンバス
変わってく景色
またね、ようこそ、ひだまり荘 / ゆの×宮子 より
一方こちらでは、変わらないキャンバス(=ひだまり荘の中でたくさん作った思い出のスケッチ)と、変わってく景色(=時の流れ、学年の変化とともに変わっていく現実のひだまり荘の風景)を対比させています。ひだまり荘で過ごした思い出のスケッチは代々語り継がれ、蓄積されていきます。ひだまり荘は思い出の集積地です。この不変の地に、たくさんの人が訪れ、過ごし、去っていく。こうして「またね」と「ようこそ」を繰り返すたびにスケッチは重なっていく。あぁ…。ひだまり荘……。ひだまり荘の一員で本当に良かった…。
この対比手法こそがZAQ作詞の真骨頂だと私は考えているのですが、のんのんびよりで対比手法が炸裂する前にもひだまりスケッチで同じ手法が培われていた事実を今回確認することができました。なんだか嬉しいです。本当はのんのんびよりの各EDテーマの関連性とストーリー性についてもっと長々と書きたいところではありますが、それはまた今度の機会ということで。
おわりに
勢い余ってメチャクチャ書いた結果話題にまとまりがなさ過ぎて自分でもドン引きしてます。まだまだ夏目の沙英に対する感情とか吉野屋先生のこととか乃莉スケがかわいいとか引っ越しの後の宮ちゃん(原作8巻参照)とかちょっと大人びた宮ちゃんとかお兄ちゃんのお下がり着てる宮ちゃんとか宮ちゃんとか宮ちゃんとかれんちょんとかほたるんとかゆのっちとか宮ちゃんとかの話をしたいんですが、間違いなく収拾つかなくなるので諦めます。適当な時に私に話を聞きに来てくれたらオタク特有の早口でお迎えします。
まぁ何が言いたいかっていうと、ひだまりスケッチとのんのんびよりを見てください、という点に尽きます。どうかこの作品が、あなたの人生の糧となりますように。
業務連絡
就職決まりました。
参考文献
特集一覧|TBSテレビ:ひだまりスケッチ×ハニカム 公式ホームページ(http://www.tbs.co.jp/anime/hidamari/special/index-j.html#pv)
「ひだまりスケッチ 沙英・ヒロ卒業編」PV (https://youtu.be/j3TGSe5t0iE)
Blu-ray Disc「ひだまりスケッチ 沙英・ヒロ卒業編」 アニプレックス
CD「おーぷん☆きゃんばす」 ランティス